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三十七日目

実、写、者、主、守、酒、受、州

実

「実」は「實」である。下図は王羲之を参考にしたもの。

「母」を現代の楷書の筆順で考えると理解できない。現代の楷書では、オレンジの画を、水色の画より先に書かなければならないからである。

晋の索靖の書いた形や唐の欧陽通が書いた形を見ると、「実」の中にある「母」部分の筆順に

というものがあったらしいと想像できる。画の対応は、この筆順に基いて想像したもの。

（この書き順は「母」を平べったく書くための工夫であり、単独で「母」と書くときは、この筆順は使われなかったように思われる。）

写

「写」は、「冩」である。

上図左は漢の時代に書かれ字を、右は王羲之を参考にした。

旧漢字の「冩」は、上図左とだいぶ異なる。王羲之の草書には、この旧漢字にない点画が二箇所もある。

「冩」が「うかんむり」か「わかんむり」かで、議論が出るところらしい。[5]は「うかんむり」「わかんむり」両様ある字がある字について「わかんむりの字を俗字というなら、正字はなくなってしまう」として、どちらでもよいものと言い、「冩」や「冨」を例に挙げている（p.608）。もっとも、これは草書の書き方について言っているのではない。

者

上図は王羲之を参考にしたもの。下図は、漢の時代の字を参考にしたものだが、これを見ると、草書では、現代の楷書で三画目にあたる「ノ」の下半分だけが書かれている理由がわかる気がする。

主

守

「恃」と比較。

酒

上図左は、活字の「酒」をちょっと変更してある。漢の時代の字はこうであったらしい。上図右は蘇軾を参考にした。

受

州

下図は王羲之を参考にしたもの（下の二つの図と色を合わせるために、この図は黄緑色の画から書き始めるように塗ってある）。

一見、点が一つずつズレているように見える（三つの点のうち省略されているのは、ひとつ目ではなくて三つ目のように見える）。しかし、筆順を考えると、上のように考えるのが順当である。

王羲之の別の字に

というものがあり、王献之にも

というものがあることからも、これが推測できる。

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