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十六日目

細、作、算、市、姉、矢、紙、恃、寺

細

下図は[1]や[2]などに採用されている形。

下図は王羲之。佃に見える。

下図は蘇軾。これなら佃に見えない。

作

下図は王羲之にもとづく。

上図を見ると画の対照が妙であるという印象を受けるが、下図の如き漢の字を見ると納得できる。

算

なんでだか、書道字典にほとんどこの字が載っていない。で、判断がつかないから保留。

市

下図は王羲之を参考にしたもの。次項「姉」の右半分のような書き方も可能。

姉

下図は王羲之を参考にしたもの。「市」部分の筆順が前項「姉」と異る。

矢

下図は孫過庭の字を参考にしたもの。

「先」と似ている。しかし、先は楷書最終画がハネで終わっており、「矢」は払いで終わっている。この違いが、「先」では草書の最後の画を分離して書かせ、「矢」では（上図のピンク部分を緑部分に）つなげて書かせているように思う。

説文の形（下図右）を見ると、上図の形同様に、頂上が突き抜けている。また、この説文の形は、上図の水色の画と緑の画が別々に書かれていることとも矛盾しない。

ただしこれは「失」と区別がつきかねる。

失

下図は王羲之の字を参考にした。

「先」とは区別がつくが（前項参照）、「矢」と区別がつきかねる。

思

紙

紙は異体字の帋を使うことも少なくない。下図は王羲之を参考にした。

お馴染の「紙」も使う。下図も王羲之を参考にした。

恃

「寺」を見るために、「恃（ジ）」を見ておくことにする。おかしな順序だが、資料の関係である。

上図は、唐の孫過庭を参考にした。問題となるのは、草書側で赤く塗ったのは楷書のどの画に当たるのか、「土」の上の横画なのか、下の横画なのか、という点である。

下図は左から隋の智永、説文、漢の章帝（[3]）。

最初に挙げた形は、漢の時代にすでに定まっていたらしい。そして、説文と比較してみると、問題になっている画は、「土」の下の横画のように思える。

また、智永は

のような形も書いており、これは字の右肩に丶がある。土についた丶だとすると、その位置は「土」のうち下側横画の右上であるのが自然だから、やはり問題の画が何なのかを示すように思える。

蛇足。恃は「たのむ」と訓じ、依存するの意。「力を恃む」など。矜恃（きょうじ）は、自分を「誇り」自分に「たよる」こと。国語辞典（新潮現代国語辞典第二版）には矜恃または矜持の如くあり、どちらも同じ意味のようであるが、漢和辞典（漢辞海初版）によると、矜持は「自重する。自分を慎む」ことあり、元来別の意味のようである。（しかもぜんぜん逆の意味じゃん）

寺

下図は「草書韻會」を参考にした。寺の扁額など、この形で書かれているものが少なくない。

「恃」参照。

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