カビパン男と私

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部屋の中で探し物をするテクニック

私は部屋の中で見つからなくなった物を探すのが得意だ。私の家族はしばしば何か見つからないとき、私に探してくれと言ってくるのだが、私は二、三の質問をした後、それを驚くほど短時間で見つけ出すのがふつうだ。これは、私が自慢できる数少いことの一つである。せっかくだから、探し物のコツというか、ライフハックというか、それを三箇条にまとめてみた。

(1) 探す物の形・大きさ・色をよく思い出す

探し物をするとき、自分は当然その物の特徴を知っていると思い込んでしまう。だが、それは時として事実と異っている。たとえば青い表紙の本を探すときに、白いブックカバーをつけていたことを忘れていては見つけ出すことができない。黄色いカードを探しているとき、その裏が白いことを忘れていると発見できない。探し始める前に、それを最後に見たときの記憶をたどり、できるだけ詳細にその姿を蘇えらせる必要がある。そのためにわずかな時間を割けば、捜し物にかかる時間を大幅に短縮できる。

(2) 発見したときの様子をイメージしながら探す

探し始める前に目的物のイメージをはっきりさせたら、探している間もそのイメージを持ち続けるようにする。しかし、これは当たり前のことでもないし、言うほど容易なことでもない。熱中して探し始めると、探しているという行為自体に満足して、自分が探しているものの特徴が頭の中でぼんやりしはじめてもそのことに気づかないからだ。われわれは日常的に、具体的な物を抽象的な概念に置き換えて思考するが、その癖が自然と出るのである。だからたとえば「手帳」ではなくて「これこれのサイズでこれこれの厚さがあるこういう色の物体」を探そうとするとよい。そのために最も有効なやり方は、ある場所を探すときには、その場所で目的物が発見される様子を強くイメージしてから、探索に取り掛かるというものだ。ただこれは、探す場所を変えるごとに毎回やらなくてはならないので、案外エネルギーが必要となる。その意欲を維持するために「絶対ここにある。ここで○○を発見して私は捜し物マスターとして名を馳せるのだ」くらいのテンションを保つのが望ましい。

(3) いちばんありそうな場所にある

探し物は、「いちばんありそうな場所」にある。ここでいう「いちばんありそうな場所」というのは、探し始める前にそう思った場所のことだ。もちろん、私がこんなことを言わなくても、あなたはその場所は最初に探すに違いない。ところが、そこに目的の物が見つからないとなると「さあ大変だ」となって、あまりありそうもない場所を探し始める。しばらく別の場所を探した後に、最初に探した場所に戻って探すだろうが、二回目は一回目より雑にしか探さない。こうして、「いちばんありそうな場所」に、ちょっとひねりを利かせた隠れ方をしている目的物は、ずっと発見されないままとなる。典型的な例は、本棚に差し込んでおいたはずの書類が本の後ろに回り込んでしまっていたりするような場合だ。めんどうくささに負けそうになったら、最もありそうな場所に最もありそうもない形で隠れているものは、驚くほど発見が困難であるということを思い出そう。

@kabipanotoko