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sed で漢文

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2011-11-9(Wed)

コンピュータで処理しやすい訓点の表記法を考えてみる。これによってマークアップされたテキストは、簡単な sed スクリプトを使い、「読み下し文」または「原文」として出力できる。

このマークアップ法による利点としては、(1) 原文がプレーンテキストで手に入った場合、コピー＆ペーストを使わずに少ないキーストロークによって、読み下し文を作成できる。(2) 読み下し文と原文の両方が同一のソースから得られ、双方の関係が明確である。(3) sed を使う楽しみが味わえる。

マークアップ規則

1. 文は 要素1 [要素2...] からなる。
2. 要素は 「文字、または、( ) による表現、または、< > による表現」の並び、からなる。
3. 文字は、漢字、ひらがな、カタカナ、句読点からなる。これに「っ」などの「小さい仮名」は含まれない。
4. () による表現は、(要素1 [要素2...]) からなり、第2要素以後を順番に出力し、第1要素を最後に出力する。
5. <> による表現は、<文字の並び 文字の並び> のとき、二番目の「文字の並び」のみを出力する。<文字の並び> の場合、何も出力しない。
6. dup は、それ以前に読み込んだ漢字のうち最後の一文字をその場所にコピーする。これは、他のマークアップが解析されるのに先立って実行される。

短かい例

山 高シ → 山高シ

(有リ 朋) → 朋有リ

(<不 ズ> 知ラ) → 知ラズ

(以テ 吾(従フヲ 大夫<之 の>後ニ)) → 吾大夫ノ後ニ従フヲ以テ

(<不 ザ>ル 敢テ(<不 ズ>ンバアラ 告ゲ))也 → 敢テ告ゲズンバアラザル也

天将ニ (<dup ス> (以テ 夫子ヲ)(為サント 木鐸ト))
→天将ニ夫子ヲ以テ木鐸ト為サントス

注意点

ホワイトスペースは、要素を区切るデリミタとして積極的な意味を持つ。たとえば、((ア イ)ウ エ) は、「エイアウ」であり、((ア イ) ウ エ) は、「ウエイア」である。この差はウの前のスペースの有無にある。前者は外側の ( ) の要素が 2 つ、つまり、(ア イ)ウ および エ であるのに対し、後者では 3 つ、つまり (ア イ) および ウ および エ である。

sed 用スクリプト

読み下しのための sed スクリプト

#!/bin/sed
s/\([^ <>()あ-んア-ン][^ <>()あ-んア-ン]*\)\([ あ-んア-ン<>()]*\)dup/\1\2\1/g
s/<[^ >][^ >]* *\([^> ]*\)>/\1/g
:a
s/(\([^() ][^() ]*\) *\([^()]*\))/\2\1/g
ta
s/  *//g

原文出力のための sed スクリプト

#!bin/sed
s/dup//g
s/[<>() あ-んア-ン][<>() あ-んア-ン]*//g

やや長い例

コーディングしたもの

陳成子(弑セリ 簡公ヲ)。孔子沐浴シテ朝シ、(告ゲテ <於> 哀公ニ)曰ク。陳恒(弑セリ 其ノ君ヲ)。請フ(討タン 之ヲ)。公曰ク、(告ゲヨ 夫ノ三子ニ)。孔子曰ク、(以テ 吾(從フヲ 大夫<之 ノ>後ニ))、(<不 ザ>ル 敢ヘテ(<不 ズ>ンバアラ 告ゲ))也。君曰ク、(告ゲヨ 夫ノ 三子者ニ)ト。(之キテ 三子ニ)告グ。(不 可カ)。孔子曰ク、(以テ 吾(從フヲ 大夫<之 ノ>後ニ))、(<不 ザ>ル 敢ヘテ(<不 ズ>ンバアラ 告ゲ))也。

読み下し出力した結果

陳成子簡公ヲ弑セリ。孔子沐浴シテ朝シ、哀公ニ告ゲテ曰ク。陳恒其ノ君ヲ弑セリ。 請フ之ヲ討タン。公曰ク、夫ノ三子ニ告ゲヨ。孔子曰ク、吾大夫ノ後ニ從フヲ以テ、 敢ヘテ告ゲズンバアラザル也。君曰ク、夫ノ三子者ニ告ゲヨト。三子ニ之キテ告グ。 可カ不。孔子曰ク、吾大夫ノ後ニ從フヲ以テ、敢ヘテ告ゲズンバアラザル也。

原文出力した結果

陳成子弑簡公。孔子沐浴朝、告於哀公曰。陳恒弑其君。請討之。公曰、告夫三子。孔子曰、以吾從大夫之後、不敢不告也。君曰、告夫三子者。之三子告。不可。孔子曰、以吾從大夫之後、不敢不告也。

——目次——

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