カビパン男と私

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ジェム英和・和英辞典

小さい割に高価な辞書である。ポケットに入る大きさながら、4320円(2016-6-19現在Amazonによる)する。革装の辞書もポケットサイズの辞書も減っている中で出版され続けている珍しい存在だ。前からめくると英和辞典で、ひっくり返して後ろからめくると和英辞典になっている。

装丁

柔らかな黒い革を使った装丁であり、辞書を引くときに表紙ごと曲げることが可能だ。

箱に「三方本金」と書いてある。三方金というのは、Wikipedia 「金付け」の項目によると、「本の裁断面すべてに(金箔を)押すこと」である。はじめはこの金箔がバリバリに固まっているので、使い始めのときに 1 ページずつめくれるようにしなくてはならない。これにはちょっとしたコツが必要だ。作業は辞書の前半と後半を別に行う。(以下、右利き用に説明する)まず、辞書の真ん中あたりのページを開き、左手で左側ページの左下を押さえながら、表紙ごと辞書の前半を奥に曲げ、続いてそれを戻し、ページが少しずつずれて重なるようにする。このとき、ページたちが左右にだけずれるのではなく、上下にもずれるようにする(ここ大事)。こうすると、辞書の前半のページたちの小口が立体的に立ち上がってくる。そこを右手の親指で小口を地から天に向かって押さえつけていくと、ページが 1 枚ずつペリペリとはがれるようになる。

用紙

また、興味深いのは用紙の形である。長方形の紙の角に丸みをつけたというだけのものではないというところだ。

図のようにちょっと複雑な形の角をしている。この形のおかげでページの隅にめくれ癖がつきにくいようである。

語彙

語彙数は英和3万3千項目、和英3万1千項目。まず、英和であるが、語彙の選び方、語義の選択は人の手が感じられるもので、十分楽しめるものだ。もちろんこれだけの語彙だから日用して載っていない項目がないというわけにはいかない。しかし、外出するときにポケットに入れておいて、色々のものを読むときに取り出してガッカリすることが少ない。もっとも、ふだん何を読むかによって、かなり違った感想を持つだろう。

一方、和英のほうは、私はほとんど使わないので言うべきことがない。

結論

私はこの辞書が好きだ。

@kabipanotoko